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源氏物語&古典🪷少納言の独り言

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「私にもう一度 せめて声だけでも聞かせてください‥」夕顔の君を失った源氏の慟哭😢 🍃【源氏物語 第4帖 夕顔】

「私にもう一度 せめて声だけでも聞かせてください。

どんな前生の縁だったかわずかな間の関係であったが、

私はあなたに傾倒した。

それだのに私をこの世に捨てて置いて こんな悲しい目をあなたは見せる」

もう泣き声も惜しまずはばからぬ源氏だった。

 

源氏物語 第4帖 夕顔より】

主人の尼の息子の僧が尊い声で経を読むのが聞こえてきた時に、

源氏はからだじゅうの涙がことごとく流れて出る気もした。

中へはいって見ると、灯をあちら向きに置いて、

遺骸との間に立てた屏風《びょうぶ》のこちらに

右近《うこん》は横になっていた。

どんなに侘《わび》しい気のすることだろうと源氏は同情して見た。

遺骸はまだ恐ろしいという気のしない物であった。

美しい顔をしていて、

まだ生きていた時の可憐さと少しも変わっていなかった。

 

私にもう一度、せめて声だけでも聞かせてください。

どんな前生の縁だったかわずかな間の関係であったが、

私はあなたに傾倒した。

それだのに私をこの世に捨てて置いて、

こんな悲しい目をあなたは見せる」

もう泣き声も惜しまずはばからぬ源氏だった。

僧たちもだれとはわからぬながら、

死者に断ちがたい愛着を持つらしい男の出現を見て、

皆涙をこぼした。

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